野球の「ホールド」とは?ホールドの条件を解説!

   

野球の「ホールド」とは?ホールドの条件を解説!

中継ぎ投手には「ホールド」という記録があります。

ホールドと救援勝利を合わせた「ホールドポイント」は、最優秀中継ぎ投手を選出する際に使用されます(最もホールドポイントの多い投手に与えられる)。

ですが、勝利投手やセーブよりもホールドがつく条件というのはややこしく、どうやったら付くのかわからない、という人も多いのではないでしょうか。

かくいう私も、ホールド自体は知っていますが、条件を正確にいえるか、といわれると若干怪しいところがあります。

ですのでここでは、ホールドがつく条件について一緒に考えてみましょう。

ホールド(H)とホールドポイント(HP)とは?

ホールドとは何か、と言われると中継ぎ投手を評価するための一つの指標ということが出来るでしょう。

現代では、「先発・中継ぎ・抑え」という分業化が主流となっています。

先発には「完投」「完封」または「勝ち投手」がありますし、抑え投手には「セーブ」という指標があります。

野球の「セーブ」がつく条件、あなたは大丈夫?

では、中継ぎは・・・・・・?
ということで出来たのがこの「ホールド」というわけです。

ですので、ホールドがつく条件も中継ぎ投手を評価できるものでなければなりません。

そしてホールドポイント(HP)というのは「ホールド+救援勝利」で表されます。

救援勝利というのはいわゆる「勝ち投手」のことです。

勝ち投手の権利についてはこちらをご覧ください。

勝ち投手の決め方とは?勝ち投手の権利の条件を徹底解説!

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ホールドのイメージ

まず、ホールドのイメージを掴んでもらいましょう。

「勝ち負けのつかない中継ぎ投手が、接戦リードならリードを保ったまま降板し、または同点で失点せずに降板する」

これだと微妙にホールド条件を網羅出来ていないのですが、大体のイメージでいいならこれで十分です。

要は接戦のリードの状態でしっかり抑えてつなげることや同点の時に失点を許さないことは、中継ぎとして十分に仕事したという評価が下される、という意味だと捉えれば大丈夫です。

それではこれを詳しく見ていきましょう。

ホールドの条件

まず以下の条件はホールドを得るために必ず満たさなければなりません。

勝ち・負け・セーブ投手でない

勝利投手や敗戦投手、セーブ投手の条件を満たしていた場合は、そちらが優先に記録され、ホールドはつきません。

先発、交代完了投手でない

ホールドは中継ぎに対する記録である以上、先発投手にはつきません。

また、同様の意味で交代完了投手でないことも条件にあがります。

交代完了投手とは、簡単にいえば「試合終了時に投げていた投手」を指します。

たとえばこのスコアでは・・・・・・。

球団123456789
先攻1000020003
後攻00003020X5

交代完了投手とは、先攻チームは8回裏の攻撃を終了させた投手、後攻チームは9回表の攻撃を終了させた投手を指す、ということです。

1/3イニング以上投げる

アウトを1つも取れずに降板した投手に対しては、ホールドを獲得することは出来ません。

まあ、アウトも取れない投手に記録は与えられないのは当たり前ですけどね。

降板したあと、自身に記録された失点によって自チームが同点(逆転)されない

中継ぎ投手はランナーを残して降板することもあります。

たとえば中継ぎ投手Aがランナー2,3塁の状態で降板し、その後の投手Bが3ランHRを打たれた場合。

この場合、「2点分はランナーを出したAに責任がある」としてAに2失点。Bはバッターがホームに返ってきた1失点が記録されます。

これが「降板したあと、自身に記録される失点」です。

これによって同点(or逆転)された場合、ホールドはつきません。

先ほどの例が6-4の2点リードだったなら、B投手によって6-7と逆転されたため、A投手にホールドはつきません(もちろん打たれたB投手にもつかない)。

これらの条件を満たした上で、さらに次のいずれかの条件を満たした投手全員にホールドがつきます。

登板時に「3点差」以内で「1イニング」以上投げる

3点差以内のリードでなおかつ1イニング以上、リードを保ったまま投げることができればその投手にはホールドがつきます。

球団123456789
先攻0000000000
後攻30000000X3
(後攻チーム)
A投手:5回(1~5回)
B投手:1回(6回)
C投手:1回(7回)
D投手:1回(8回)
E投手:1回(9回)
(いずれも無失点)

このような継投策の場合、条件を満たすB,C,D投手全員にホールドがつきます(E投手は最後の投手なのでセーブが記録される)。

「3イニング」以上投げる(点差関係なし)

中継ぎで3イニング以上投げられれば点差に関係なくホールドが記録されます。

主に大量得点差がついたときに3イニング投げると記録されますが、最終回に投げられない(セーブになるため)、また先発が5回持たずに降板すると先発に勝ちがつかない都合上、その3イニング投げた投手が勝ち投手になりやすいため、あまりこの機会でのホールドを獲得するのは難しいかもしれません。

たとえば以下の条件ならB投手にホールドが付きます。

球団123456789
先攻0000002002
後攻32100000X6

(後攻)
A投手:5回無失点(1~5回)
B投手:3回2失点(6~8回)
C投手:1回無失点

2者連続HRを打たれると同点、あるいは逆転される状況での登板(イニング関係なし)

これがややわかりにくいかもしれません。

まず、この条件が適用されるとき「イニング数」は関係ありません。

ですので、たった1アウトを取って降板してもホールドがつく可能性があります。

そして、その投手が登板したその時点で、点差が「2+ランナー数」以内であればホールドがつく条件を満たせます。

つまり

ランナーなし2点差以内
ランナー1人3点差以内
ランナー2人4点差以内
ランナー3人(=満塁):5点差以内

ですね。

・・・・・・これらは気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、セーブ条件に準じています。違いは中継ぎ投手であることくらいですね。

さらに、ホールドには以下の条件でもつきます。

登板の時に同点であり、失点を許さず降板する

同点のまま、相手に勝ち越しを許すことなく次のピッチャーにバトンをつないだ場合はホールドがつきます。

勝ち越しが許されない状況で見事無失点で切り抜けているわけですから評価していても良いですよね。

ただしメジャーリーグではつきません。

球団123456789
先攻0220200006
後攻321000001X7
(後攻)
A投手:5回6失点(1~5回)
B投手:1回無失点(6回)
C投手:1/3回無失点(7回~7回1アウト)
D投手:2/3回無失点(7回1アウト~7回3アウト)
E投手:1回無失点(8回)
F投手:1回無失点(9回)

この場合、同点の時に登板し、無失点で切り抜けたB,C,D,E投手にホールドが記録されます(F投手は勝ち投手)

同点で登板時、失点したが登板中に自チームが勝ち越し、そのリードを保って降板したとき

同点で失点していてもホールドがつくケースがあります。

登板中に自分のチームが勝ち越すことです。

ただし、その勝ち越し点が決勝点になった場合は勝ち投手がつくためホールドはつきません。

たとえばこのケース。

球団123456789
先攻0020202006
後攻021101002X7

(先攻)
A投手:4回4失点(1~4回)
B投手:1回無失点(5回)
C投手:2回1失点(6,7回)
D投手:1回無失点(8回)
E投手:1/3回2失点(9回)

まず、B投手は5回裏の登板時に4-4の同点で無失点に抑えたのでホールドがつきます。

続いてC投手ですが、6回裏に4-4で登板しましたが1点を失いました(4-5)。

しかし7回表に2点を取って逆転し(6-5)、7回裏は無失点で抑えてリードを保ちました。
この時点では6点目が決勝点になるためC投手に勝ち投手の権利がつきます。

しかし、9回裏に2点を取られサヨナラ負けを喫しましたことにより、7回の6点目は決勝点ではなくなったため、C投手にホールドが記録されます。

D投手は1点差で1イニング抑えたためホールドがつきます。E投手はサヨナラ負けなので負け投手ですね。

ちなみにセーブなどと違い、ホールドは試合の勝敗関係なく記録されます。

よって、「試合に負けたけどホールドはついた」なんてこともよくあります。

ホールドの条件(実践編)

それでは実践編に移りましょう。

ちゃんと理解出来るのか、ちょっとした確認テストのようなものです。

1.このスコア、投手リレーのとき、誰にホールドがつく?

球団123456789
先攻0101100003
後攻0000000011
(先攻)
A投手:6回無失点(1~6回)
B投手:1/3回無失点(6回~6回1アウト)
C投手:2/3回無失点(6回1アウト~6回3アウト、状況:ランナー2塁)
D投手:1回無失点(7回)
E投手:1回無失点(8回)
F投手:1回1失点(9回)

2.このスコア、投手リレーのとき、B投手にホールドはつく?

球団123456789
先攻52411000013
後攻0000001517

(先攻)
A投手:5回無失点(1~5回)
B投手:3回6失点(6~8回)
C投手:1回1失点(9回)

3.このスコア、投手リレーのとき、誰にホールドつく?

球団123456789
先攻1000011025
後攻1000011003

(先攻)
A投手:6回2失点(1~6回)
B投手:1回1失点(7回)
C投手:1回無失点(8回)
D投手:1回無失点(9回)

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答え

1.まず先発投手であるA投手、完了投手であるF投手にホールドはつきません。
B投手は3点差の6回裏に登板し、1アウトだけ投げて交代しました。3点差の時は1イニング以上投げる必要があるのでホールドはつきません。
C投手の時も3点差ですが、ランナーが1人いるため、ホールド条件を満たせます。
D,E投手は3点差で1イニング以上投げているため、ホールドがつきます。

よって、C,D,E投手にセーブがつく。

2.3イニング以上投げていますので、たとえ6失点していてもリードを保っているままC投手に交代していますので、ホールドがつきます。

3.B投手は同点である7回裏に1失点しています。8回表に勝ち越すことができればホールドの可能性がありましたが同点止まりだったのでホールドはつきません。

C投手は同点を無失点で抑えていますのでホールド、と思いきや9回表の勝ち越しによってC投手は勝ち投手になってしまいました。

D投手はセーブです。

よって、誰にもホールドがつきません。

ホールド条件まとめ

最後に、ホールド条件をまとめてみます。

勝ち投手、負け投手、セーブ投手、交代完了投手、先発投手のいずれでもない1/3回以上投げた中継ぎ投手で、以下の条件をどれかを満たしていればホールドがつく。
(ただし、降板後、自身に記録された失点によって自チームが同点(逆転)された場合を除く)

1.登板時に3点差以内で、1イニング以上投げる

2.3イニング以上投げる(点差関係なし)

3.登板時に、(2+登板時のランナーの数)点差以内(イニング関係なし)

4.登板時に同点で、失点を許さず降板する

5.登板時に同点で、登板中にチームが勝ち越し、そのリードを保ったまま降板する

いかがだったでしょうか?

セーブや勝利投手よりもちょっと複雑で、わかりにくいかもしれません。

しかし、ホールドは中継ぎ投手を評価する非常に大事な記録です。

理解できるようになると、野球がもっと面白くなると思いますよ。

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